アフタヌーン本誌連載作のおすすめ
こんばんは。
アフタヌーン本誌連載作、既刊が多いので少々推奨し辛いのですが、『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』をおすすめしたく投稿します。
既刊の数(29巻)と全体的にビターな後味に抵抗がなければ是非ご検討ください。
おすすめポイントは沢山あるのですが、ストーリーそのもの以外のところから3つだけ挙げさせて頂きます。
(ストーリーは3巻辺りまで無料公開中なので読んで頂いた方が早いかと……)
1. 病理医という一般的知名度の低い職を主体にしながら、漫画としてのエンタメ性が練り上げられている
医療モノは、物語の解を出しやすい外科医や救急医、あるいは世間的に目に触れやすい看護師や薬剤師をピックアップし、患者などとの人間関係も含めて描くという手法が取られることが多いです。
本作は、臨床の医療において明確に存在する人間関係そのものに着目して病理医を取り上げています。
病理医の仕事を描くことが主眼ではなく、健康と死の間のグラデーションに対する「向き合い」が、エンターテインメントとして描かれている。
これは後に書く3項ともリンクしますが、困難に相対した時の人間が理想と現実の板挟みになりながらも行動する姿というのは、医療以外の分野にいる人にも共感を呼ぶものであると思います。
2. とはいえ知らない職の話はシンプルに面白い
臨床医ではないといえば法医解剖医などもそうですが、病理医はこれまで殆ど(全く?)取り上げられなかったこともあり、圧倒的に知名度が低く、単純に知らないことばかりです。
病棟の最奥や地下などに、組織や細胞から全身を診る専門医がいる。
あまりにも専門性が高くなった現代の医学において、真実ジェネラリストであることが求められる病理医に、どれほどの学習と継続的努力が求められるのかと圧倒されます。
3. 正しさと誇り
仕事をする上で、「正しさ」の追求ほど大変なものはないと思っています。
多くの制約と変化する状況の中、必ずしも用意されているわけではない解を求めて少しでも「正解」に近いものをアウトプットする……ことをひたすら繰り返す。
(医療などの社会インフラに携わる人であれば尚のこと、自分の行動や判断が他者に与えうる影響を背に感じながら)たとえベターの選択肢がなくとも前に進めざるを得ない状況は身に覚えがあり、共感できるのではないかと思います。
以下、現代ビジネスに掲載(2016/02/25)された原作者のインタビューから引用します。
>ですが、『フラジャイル』は病理医紹介漫画ではありません。僕がこの作品で書いているのは「誇り」であり、信念やプライドを持ち、自分に正しくあろうとする人たちです。
>背負った大きな責任に応えようとする岸のような人間を、僕はカッコイイと思うんですね。
おすすめありがとうございます!そもそも医療題材の作品が好きな傾向にあるので、そのうえアフタヌーンらしい人間の深堀がみられるなんてとても面白そうです。自分の知らない世界のお仕事を知るのも好きなので、好みに合いそうです。
>自分の行動や判断が他者に与えうる影響を背に感じながら)たとえベターの選択肢がなくとも前に進めざるを得ない状況は身に覚えがあり、共感できるのではないか
あらゆる創作物において、「奇跡が起きないgoodend(≠True end)」が好みで、登場人物が選んだ択の結果起こりうる当然の帰結を見守るのが好きなので、ここも楽しみです。
とりあえず1巻購入したので、読んでみます。ただ、患者毎にストーリーのまとまりがあるなら、とりあえず最新話から追っても大丈夫そうな気もするので、今後アフタヌーン購読開始した後も気楽に触れられる気がしています。良い漫画を興味深く紹介いただいてありがとうございます!