BL左右研究部 #02〜二次創作BLの少女漫画性〜

※#02スタートなのはTwitter上で議論した「精神的左右とは」の議論を文書としてまとめていないためです。

所詮セックスポジションの話でしかない左右表記。しかし、ありとあらゆる関係性の表現を左右に表記に期待しています。そんな曖昧な左右表記にこだわる理由は何か、自分が左右表記に託しているものは何か考えるシリーズです。

左右表現は所詮セックスのポジションでしかありません。しかし、腐女子は左右の明記にものすごくこだわり、結果的には精神的な関係性も左右に託しています。(セックスしていなくても逆カプが見られない…とか)

ならば、左右に託された精神的な関係性にはある程度類型があると思い、その類型を探っている最中です。

さて、11月は酒井まゆ先生の「MOMO」と、中原杏先生の「ひかりオンステージ」の1話 をたまたま読み、「二次創作BLの左右の文脈は、作家が幼少期に読んでいた少女漫画に則っているのでは」という仮説が浮かびました。

具体的には以下の少女漫画表現はそのままBLの二次創作でよく見る表現だなと。

  • 笑顔のヒロインにドキッ…!(照)とするヒーロー
  • ヒロインに対して「かわいすぎ…っ!」と口を押さえるヒーロー
  • ヒロインにゾッコンのヒーローに対してモブの「眼科いけ」

もちろん「私の好みは逆だ!」と唱える方もいらっしゃるでしょうが、基本的にはヒーローが攻め/ヒロインが受けというのがよく見られる表現ではないでしょうか。

結果、攻め受けが表現する1つのテンプレートの源流として少女漫画表現があるのではないか?という仮説を唱えたところ、ご意見を2つお寄せいただきました。

前提として、少女漫画に則ったBL表現を下に見るといった意図は全くありません。表現のベースのひとつとして少女漫画がある、という意見を述べています。

また、100%全部の作品の傾向について語っているわけではなく、二次創作BLの左右表現の一部は少女漫画に則っている場合があるという話をしています。ただ、一部の作品がある内容に則っているだけでも、「傾向」と言えると思っているので、議論の俎上にあげています。

BL二次創作と少女漫画表現・ネタのテンプレートについて(2023.11.19 19:00)

腐女子という呼び名があって腐男子という言葉が生まれたこと、私のインターネットに触れていた経験からしてBL二次創作をするオタクの大半が女性であると考えます。まだボーイズラブ作品が商業誌としてメジャーではなかった頃、恋愛が主軸となっている作品のほとんどが女性向けの少女漫画やドラマ、小説だったと思います。特に少女漫画は女性が主人公である場合が多いため女性が感情移入しやすいです。これもかなり偏った考えですが、BL二次創作をするオタクは漫画を好みます。恋愛系の商業漫画として少女漫画を読んだオタクは少女漫画特有の恋愛表現・ネタを学びます。少年漫画にも恋愛表現がありますが、BL二次創作がされ始めた当時は少女漫画の方が主軸を恋愛にしている作品が多いと思います。少女漫画が恋愛表現の教科書のように恋心の流れや男性キャラクターの心情についてテンプレートのように広まって行ったと考えます。それと同時に笑顔でドキッ…!、「かわいすぎ…っ!」と口を押さえる男、モブの「眼科いけ」のような少女漫画由来のネタも広まっていったのかな…と考えております。性的表現が過激であるBL二次創作作品は男性向け表現の注意書きがなされていることが多く、少女漫画のような恋心表現に重きを置いたBL二次創作には女性向け表現の注意書きがついていません。一般的なBL二次創作はボーイズラブの名のもと男性キャラクター同士の恋愛関係を二次創作するというものなので恋愛表現を少女漫画で学んだオタクはBL二次創作をする際に少女漫画の恋愛表現を使い、それが現代までに伝わっているのかなというのが私の考えです。乱文失礼しました。

少女漫画くらいしか気軽な恋愛創作がなかった時代、恋愛表現を少女漫画で学んだ人は多いでしょう。そのヒーローとヒロインの関係性がBL二次創作の攻め受けで再生産されて、「左右」の傾向になったという意見です。

再生産され続けているという時間の視点に気づけましたし、また、人々が少女漫画以外の恋愛描写に触れる機会も増えていったからこそ今では少女漫画から離れた二次創作BLも多く見受けられるのかなと思いました。

左右に関してではありませんが、「特に少女漫画は女性が主人公である場合が多いため女性が感情移入しやすいです。」というご意見に対してひとつ思うところがありました。BL二次創作では作者の感情(攻め・受けキャラクターへの劣情)攻め・受けどちらかに投影していることが多いと感じており、それも少女漫画の自己投影性質からきているのかな?と感じました。無理やりかもしれませんが。

例えば原作中で攻めが言及していない受けの魅力にやたら執着しているなど(具体的には日向の91cmの胸部に対して、希望に対する振る舞いと同様に狛枝が変態的に執着する、など)

そもそも漫画とはキャラクターに自分の感情を投影するものであるという少女漫画由来の前提がある人は、作者の感情が色濃く出すようにしている、という考えもあるのかなと思いました。

左右の源流は少女漫画かもについて(2023.11.19 19:45)

すごくわかります。
わたしも常々、BLの左右は肉体的にも精神的にも男女のテンプレートで成り立っていると思っていました。
今、よく二次創作を読むジャンルがいわゆる覇権になりつつある活気のある界隈のものなのですが、特に若い子(〜18くらい)の作品は、見た目が女の子らしい中性的な子を受け役に置く。そして肉体関係がなかったとしても、受け役の子を女性扱いをする作品が多いです。おそらく、BLに触れたばかりで、カップルという形を、今世の中で目につきやすい男の人と女の人として認識したまま、BLへ流用してるのかな〜と思ってました。
(逆に所謂攻めっぽいキャラを左に置く人は割と成人済みの人が多く、そのジャンルに長くいる偏見があります。)
さぶろうさんのおっしゃる通り、肉体面で左右をかんがえていたとしても、ならセックスをしなかったとき、どちらが攻めでどちらが受けかを認識するのは、日常生活における男役と女役で区分されていて、それは少女漫画の流れからきているんだろうなというのは考えていました。
特に、ブロマンスではなく、恋愛に主軸を置いたBL作品はその流れが顕著だと思っています。(恋愛🟰少女漫画のテンプレが罷り通ってる…?)
今ではブロマンスや(俗な表現にはなりますが)クソデカ感情など、恋愛としてひとくくりにはできない作品が増えてきたからこそ、左右論争はやまないのかな〜と思いました。
しっちゃかめっちゃかですみません。

作者の年代に触れた意見です。結構自分でも納得いく、覚えがある意見でした。BLを描き始めた頃は恋愛表現や表現に対する引き出しがかなり少ないので、少ない引き出しでどうにか自カプを表現しようと思った時、縋るのがそれまで接種してきた恋愛表現や男女観の再生産になる…という話です。

私は実際狛日で初めてBLを描いたのですが、振り返ると今では絶対描かないような二人の関係性の表現をしていて、ない引き出しからかき集めたんだなあと感じます。今と思想が違うからこのサイトにも載せていないのですが、そもそも思想が違うのではなく狛日に対する練度やストーリーの引き出し方が未熟だったのかもなと振り返れました。

左右観とジェンダー観は切り離せないものだと思っており、生み出されてしまう作品が現実に存在してしまう「男役」「女役」の考えと近いものになってしまうのはしばらく仕方ないのかなと思います。

今では男女規範の見直しが目指されているだけでなく、性別に関わらず「恋愛」だけが二人を強く結びつけるものじゃなく、別の名がつけられたり、名をつけなくていいことが明らかになってきました。だからこそ、今になって左右の議論が白熱しているのかもと思いました。

お二人のご意見をいただき、少女漫画か否かに関わらず、得てきた恋愛表現や男女の関係性表現が色濃く二次創作に出ている方は多いと感じました。

また、自カプを自分が知っている恋愛表現で再生産したいと思う心こそ二次創作BLだと思うので、きっと少女漫画という恋愛表現に則った自カプ表現を目指している方も多くいるんだろうなと思いました。そんな表現を左右表記に託している人もいるのでしょうね。